はじめに
アルゼンチンが9度目のデフォルトになってしまいました。
2020年4月から国債の利払いを止めており、2020年5月22日午後6時(日本時間23日午前6時)が利払い猶予期間(グレースピリオド)の期限となっていた。
しかしながら、3年間の支払い猶予を求めるアルゼンチン側と、期間の短縮を求める債権者団が折り合えず、デフォルトとなってしまいました。
この記事では、デフォルトの内容について、説明いたします。
まず国債とは?
政府は税金として国民からお金を集めて、政府としての活動(公共事業など)を行ないます。
しかし、税金だけでは足りなくなることがほとんどです。
そのため、不足分を投資家(国民や企業など)からの借金で補っています。
その借金が国債です。
国債という債券を発行して、資金を調達します。
例えば、10年満期で金利1%の国債を100万円分購入するとします。
すると、金利1%分の1万円を毎年もらえ、10年後には最後の金利1万円分と元本の100万円が戻ってきます。
国は国債を買ってもらえると資金を調達でき、投資家は金利分もうけがでます。
つまり国債を買った人は、金利1%の10年定期預金をしているような状況になります。
これが国債の仕組みです。
デフォルトとは?
それでは、デフォルトの説明です。
デフォルトとは、債券の利払いや償還が約束通りに行われないことです。
約束(債務)が破られることから、債務不履行とも呼ばれます。
アルゼンチンの国債がデフォルトになるということは、国債の利払いをしなくなるということです。
つまり、資金調達で得した国と利息で得した投資家で成り立つはずの国債で、投資家に利息が払われなくなるということです。
デフォルトをする理由
2020年のデフォルトは、新型コロナウイルスのために世界的な景気低迷が鮮明になり、経済の立て直しがさらに困難になっているため、起こりました。
現地の経済専門家は「(原資はあるものの支払わない)テクニカルデフォルトだ」とも言っています。
新型コロナウイルスで経済の先行きが不透明なため、現時点で利息を払ってしまうと、今後どのようになるかわからないので、利息を払わない選択をしたということ。
デフォルトのその後
次に、デフォルトが起こった場合の影響を考えてみましょう。
資金調達で得した国と利息で得した投資家で成り立つはずの国債で、投資家に利息が払われなくなるので、投資家のメリットがなくなってしまいます。
そうなると、債券市場でアルゼンチンの国債は売りを浴びる可能性が大きくなります。
アルゼンチンのGDP(国内総生産)はマイナス成長になり、消費者物価は上昇し、景気の後退と高インフレに見舞われる可能性が高いです。
そのため、国際金融市場ではアルゼンチンの存在感は低下していくことになります。
ただ、今回のデフォルトは、テクニカルテクニカルデフォルトのため、大きな混乱はないとの言われています。
新興国のリスク
新型コロナウイルスの影響で、アルゼンチンだけではなく、ほかの新興国でもデフォルトなどの問題が起こっています。
- アルゼンチン
2020年5月、5億ドルの利払いを止め、6年ぶり9回目のデフォルト - レバノン
2020年3月、12億ドルの返済ができずデフォルト
レバノンで初めてのデフォルト - エクアドル
資源価格の下落で国債の利払いができない状況(2020年8月まで利払いを止めると発表)
事実上のデフォルト状態になっている - 南アフリカ
公的債務の安定化に向けた明確な道筋が示されていない
新型コロナウイルスの感染拡大で公的財政と経済成長が影響を受けると予想
2020年4月、投資不適格として扱われる - メキシコ
原油価格下落の影響や主力産業である自動車生産が悪化の予想
2020年4月、格付けを格下げされる
新興国の国債は、利回りが高いですが、今回のコロナショックで「利回りが高い」=「リスクが高い」ことがより顕著になったのではないでしょうか。
まとめ
国債は、国にとっては資金調達のメリット、投資家にとっては利回りのメリットがあります。
投資家のメリットである国債の利回りを払われないことがデフォルトです。
デフォルトが起こると、国債金融市場で存在感がなくなり、景気の後退、高インフレになる可能性が高くなります。
また、新興国の国債は、利回りが高い分、リスクも高いことは、しっかり認識する必要がありますね。
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