はじめに
あなたは「人間はチンパンジーより世界を知らない」と聞くと、どのように感じますか?
世界についての3択クイズをしたとき、人々の平均正解数は12問中2問(約17%)で、
チンパンジーが無作為に答えを選ぶと33%に近くなるため、「人間はチンパンジーより世界を知らない」となるわけです。
では、なぜ世界の人々は世界についてわかっていないのか?
それは、世界の見方が間違っているためです。
本書では、世界を正しく見る見方を説明し、世界について正しく教えてくれています。
要約では、間違った見方・事実・ファクトフルネス(正しい見方)の3つにわけて記載したいと思います。
世界的で200万部の大ベストセラーの要約を、ぜひご覧になってください!
レベルについて
本書では、世界をレベル1-4にわけて考えられています。
- レベル1:1日の所得が2ドル未満
- レベル2:1日の所得が8ドル未満
- レベル3:1日の所得が32ドル未満
- レベル1:1日の所得が32ドル以上
4つの所得レベルで考えることが、「事実に基づく世界の見方」を支える最も重要な柱となります。
FACTFULNESS
分断本能
間違った見方:
~世界は分断されている~
~「金持ち」対「貧乏」のように、物事や人々を2グループに分けてしまう~
事実:
確かに1965年では、「途上国」と「先進国」に分断されていたが、
2017年には世界人口の85%は以前の「先進国」の枠組みに入っていて、
以前の「途上国」に該当するのは世界人口の6%しかいない。
- 低所得国に暮らす女子の初等教育を修了する割合:A.60%
- 世界で最も多くの人が住んでいる国:A.中所得国
低所得国の平均寿命は62歳、多くの人は食べ物に困らず、水道水を飲め、ワクチンを接種し、多くの女の子も小学校を卒業する。
低所得国と高所得国の間に分断はなく、その間の中所得国に人類の75%が属している。
ファクトフルネス(正しい見方):
~4つのレベルで考えよう~
世界は2つに分断することができないので、4つのレベルで考えよう。
~「平均の比較」に注意しよう~
グループには重なりがあり、分断などないことが多い。
~「極端な数字の比較」に注意しよう~
グループには最上位層と最下位層があるが、大半の人はその中の間の上でも下でもないところにいる。
~「上からの景色」であることを思い出そう~
高いところからみると、どれも同じぐらい低く見えるが、実際は違う。
ネガティブ本能
間違った見方:
~世界はどんどん悪くなっている~
~偏った報道により、「世界はどんどん悪くなっている」と考えてしまう~
事実:
- 世界の人口のうち、過去20年での極度の貧困にある人の割合の推移:A.約半分になった。
1800年頃では、人類の約85%が極度の貧困層に属していた。
1997年頃、インドと中国の両方で、人口の42%が極度の貧困だったが、2017年にはインドの極度の貧困率は12%まで低下し、中国では0.7%に低下した。
(20年間で2億7000万人が極度の貧困から脱した)
- 現在の世界の平均寿命:A.72歳
1973年、平均寿命は60歳だったが、現在10年も延びて72歳となっている。
減り続けている16の悪いこと
- 合法的な奴隷制度が合法な国
- 石油流失事故による油の量
- ソーラーパネルの平均価格
- HIV感染者数
- 乳幼児の死亡率
- 戦争や紛争の犠牲者
- 死刑制度のある国
- 有鉛ガソリンが合法な国
- 飛行機事故の死者数
- 児童労働の割合
- 災害による死者数
- 核兵器の数
- 天然痘の感染者がいる国
- 大気汚染
- オゾン層の破壊
- 飢餓の人口
増え続けている16の良いこと
- 新しい映画の本数
- 自然保護が占める割合
- 女性参政権のある国の数
- 新しい音楽の新譜数
- 科学の発見
- 農作物の収穫量
- 識字率
- オリンピックに参加するチームの数
- 小児がんの生存率
- 女子教育の割合
- 絶滅危惧の保全
- 電気を利用できる人口
- 携帯電話の所有率
- 安全な飲料水の利用率
- インターネトを利用できる人口
- 予防接種を受ける子供の割合
ファクトフルネス(正しい見方):
~ネガティブなニュースに気づくこと~
ネガティブなニュースのほうが圧倒的に耳に入りやすく、実際より悪いイメージを抱くようになりやすい。
~「悪い」と「良くなっている」は両立する~
「悪い」は現在の状態、「良くなっている」は変化の方向で、「悪い」が「良くなっている」は両立する。
~良い出来事はニュースになりにくい~
ほとんどの良い出来事は報道されない。
~悪いニュースが増えたとしても、悪い出来事が増えたとは限らない~
悪いニュースが増えた理由は、世界が悪くなったのではなく、監視の目が届くようになったからかもしれない。
直線本能
間違った見方:
~世界の人口はひたすら増え続ける~
事実:
- 15歳未満の子供は、現在世界に約20億人いるが、国連の予測では2100年に約何人になるか:A.20億人
1800年頃、世界人口は10億人になった。
そこから、130年で人口は倍の20億人になった。
さらに、100年もしないうちに、世界人口は70憶人に増加した。
しかし、人口が増えるスピードはすでに穏やかになっており、これから数十年間は減速する見込み。
そのため、2100年頃には、世界人口は100-120憶人で安定すると予測されている。
- 国連の予測で、2100年には人口が40億人増えるとされているが、その理由:A.大人(15-74歳)が増えるから
1965年には女性ひとりあたり5人子供を産んでいたが、
2017年では女性ひとりあたり2.5人に大きく減っている。
子供の数は増えないが、現在の子供世代が年を取るにつれて、各世代の人口が順に倍増していくため、世界の人口が増えている。
ファクトフルネス(正しい見方):
~「グラフはまっすぐになるだろう」という思い込みに気づくこと~
直線のグラフはめずらしく、S字カーブのグラフ、すべり台の形のグラフなどがあることを知っておく。
恐怖本能
間違った見方:
~危険でないことを、恐ろしいと考える~
事実:
「身体的な危害」「拘束」「毒」などを人々は恐れるが、レベル3と4の人がそれらで命を落とすことはほとんどない。
- 自然災害で毎年なくなる人の数は、過去100年でどう推移したか:A.半分以下(25%)になった。
自然災害でなくなる人はレベル1の人で、ほとんどの人がレベル1から脱出し、災害に備えられるようになった。
ファクトフルネス(正しい見方):
~「恐ろしいものには、自然と目が行ってしまう」ことに気づくこと~
恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく計算する。
~リスクは「危険度」と「頻度」、つまり「質」と「量」で決まる~
「リスク=危険度×頻度」で決まるため、恐ろしさはリスクと関係ない。
過大視本能
間違った見方:
~目の前の数字がいちばん重要だ~
事実:
2016年、420万人の赤ちゃんがなくなった。
420万人という数字はとてつもなく大きい数字に感じられる。
しかし、2015年では440万人で、2014年は450万人。
さらに、1950年には、1440万人の赤ちゃんがなくなっている。
- 現在の世界人口の分布:A.アメリカ大陸10億人、ヨーロッパ大陸10億人、アフリカ大陸10億人、アジア大陸40億人
2100年には、アメリカ大陸10億人、ヨーロッパ大陸10億人、アフリカ大陸40億人、アジア大陸50億人になると予測されている。
現在、レベル4の消費者市場は北アメリカやヨーロッパが6割を占めている。
しかし、2027年には6割から5割に低下し、2040年には4割程度になってしまう。
中国やインド、そのほか新興国は二酸化炭素の排出量を増やしている。
しかし、国全体の二酸化炭素排出量を比べるのは不毛で、ひとりあたりの二酸化炭素排出量を比較するのが妥当である。
ファクトフルネス(正しい見方):
~ただひとつの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと~
ほかの数字と比較したり、割り算をすることで、同じ数字からまったく違う意味を見出せる。
~80・20ルールを使う~
項目が並んでいたら、まずは最も大きな項目だけに注目する。
パターン化本能
間違った見方:
~ひとつの例がすべてに当てはまる~
事実:
- 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供の割合:A.80%
世界の状況を勘違いしてしまうのは、頭の中に「あの人たち」という分類があり、その分類に人類の大半を押し込んでしまうから。
レベル4では、エレベーターにはドアセンサーがあり、物が挟まるとすぐ自動的にあくようになっているが、
世界にはドアセンサーのないエレベーターもある。
ファクトフルネス(正しい見方):
~ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それに気づくこと~
パターン化は間違いを生み出しやすいため、分類を疑う。
~同じ集団の中にある違いを探そう~
集団が大規模な場合、より小さく、正確な分類にわける。
~違う集団の共通項・違いを探そう~
異なる集団で共通項があれば、分類が正しいか確認すべきだし、ひとつの集団で正しいことが、ほかの集団でも正しいとは限らない。
~強烈なイメージに注意する~
強烈なイメージは頭に残りやすいが、それは例外の可能性もある。
宿命本能
間違った見方:
~すべてはあらかじめ決まっている~
~持って生まれた宿命によって、人・国・宗教・文化の行方は決まる~
事実:
- 世界中の30歳の男性は平均10年間の学校教育を受けているが、同じ年の女性は何年間の学校教育を受けているか:A.9年
男女の平等について、北欧メディアで毎日のように議論されているため、北欧以外の場所では男女平等が進んでいないように考えている。
しかし、男女の平等は改善されて行っている。
避妊を禁じる宗教が多いため、信仰心のあつい女性は子供の数が多いと思い込んでいる人が多い。
しかし、宗教と子供の数は関連がなく、むしろ子供の数と強く関連するのは所得。
キリスト教、イスラム教、その他に分類したとき、どのグループもレベル1では子供の数が多く、レベル4では子供の数が少ない。
女性ひとりあたりの子供の数は、イスラム教徒で3.1人、キリスト教徒で2.7人となっている。
ファクトフルネス(正しい見方):
~人・国・宗教・文化は変わらないように見えるが、変化がゆっくりと起きていることに気づく~
ゆっくりとした変化でも、変わっていることを意識すると良い。
~知識をアップデートし、小さな進歩を追いかけよう~
テクノロジー・国・社会・文化・宗教は刻々と変わり続けるため、知識をアップデートする。
小さな変化でも、数十年で大きな変化になる。
~おじいさんやおばあさんに話を聞こう~
価値観がどれほど変わったかは、おじいさんやおばあさんの価値観とどれほど自分たちの価値観が異なっているかを、確認する。
単純化本能
間違った見方:
~世界はひとつの切り口で理解できる~
~世の中のさまざまな問題にひとつの原因とひとつ回答を当てはめてしまう~
事実:
- 1996年には、トラとジャイアントパンダとクロサイはいずれも絶滅危惧種として指定されていたが、当時より絶滅の危機に瀕している動物はいくつあるか:A.ゼロ
人間は天然資源を荒らし、自然は破壊され、多くの動物が絶滅の危機に追いやられた。
生き物と生息環境を守る活動家のおかげで、絶滅危惧種のトラとジャイアントパンダとクロサイの数は、この数年で増えている。
健康と富のバブルチャートで、キューバが特殊な位置にいた。
所得はアメリカの4分の1なのに、子供の生存率はアメリカと同じぐらい高かった。
⇒キューバは、貧乏人の中でいちばん健康だ
と考えられるが、
⇒キューバは、健康な人の中でいちばん貧乏だ
とも考えられる。つまり、キューバ人は金持ちになり、自由になれる。
ファクトフルネス(正しい見方):
~ひとつの視点だけでは世界を理解できないと知ること~
さまざまな角度から物事を見たほうが物事を正確に理解でき、現実的な回答を見つけられる。
~自分の考え方を検証しよう~
あなたと意見の合わない人に考え方を検証してもらい、自分の弱点を見つけよう。
~数字は大切だが、数字だけに頼ってもいけない~
数字を見なければ世界は知れないが、数字だけでは世界を理解できない。
犯人捜し本能
間違った見方:
~誰かを責めれば物事は解決する~
事実:
原料価格よりも安い値段で薬品を売る製薬会社があった。
筆者は、詐欺に違いないと意気込んでいた。
しかし、製薬会社は詐欺ではなく、金利を使って稼ぐため、原価より安くできていた。
インドや中国が出す排気ガスのせいで地球温暖化を引きを越していると西洋では考えられている。
しかし、今までの二酸化炭素の大部分は現在レベル4にいる国々が50年間排出したものであり、
カナダひとりあたりの二酸化炭素排出量は、中国の2倍、インドの8倍にも上る。
- いくらかでも電気が使える人の世界での割合:A.80%
産業革命で数十億人の命を救ったが、良いリーダーがいたからではなく、洗濯機や洗剤が発明されたから。
ファクトフルネス(正しい見方):
~犯人ではなく、原因を探そう~
誰かを責めるとほかの原因に目が向かなくなり、将来の同じ間違いを防げなくなる。
~ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう~
社会の仕組みを支える人たちの功績を認めよう。
焦り本能
間違った見方:
~いますぐ手を打たないと大変なことになる~
事実:
- グローバルな気候の専門家は、これからの100年で、地球の平均気温はどうなると考えているか:A.暖かくなる
専門家が劇的な温暖化を予測していて、地球温暖化に急いで手を打つ必要がある。
しかし、誇張により恐れと焦りに動かされるのではなく、データと客観的な分析に基づいて行動すべき。
心配すべき5つのグローバルなリスク
- 感染症の世界的な流行
- 金融危機
- 第三次世界大戦
- 地球温暖化
- 極度の貧困
ファクトフルネス(正しい見方):
~自分の焦りに気づくこと~
いま決めなければならないようなことはめったにないと知る。
~深呼吸し、データにこだわろう~
焦ると冷静に分析できなくなるし、正確で重要なデータだけを取り入れよう。
~過度な対策に注意しよう~
大胆な対策を取ったら、それに伴う副作用が発生する可能性がある。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
ァクトフルネス(正しい見方)を身に着けることによって、世界を正しく見ることができるはずです。
人は、真実でないにしても、自分が真実だと思う、感じることに基づいて、認識したり行動します
それは、分断本能であったり、宿命本能であったり、さまざまな要因で真実をゆがめてしまいます。
世界に対する見方が変われば、明るい未来が待っているはずです。
このサイトが参考になりましたら、幸いです!
コメント
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